2004年9月7日(火) 『いまだに緊張するのよね』

ゆずさん

セリさん

トトロさん

メイさん
 明日からの治療に備えて今日の午後から入院。
                  
                  そんなわけで、午前中は掃除と洗濯と入院準備をして過ごしていた。
                  
                   昼食の後、しゅうちゃんに病院まで送ってもらって、外来窓口で入院の手続きをしてから婦人科病棟に行った。
                  
                   いつものように看護師さんと「こぶさん、お帰り。」「ただいま。」というやり取りをした後、家での事を話をしながら血圧や、体重を量ってもらった。
                  
                  体重が退院時より3kg増えて56kgになっていた。
                  
                   病室は、ゆずさんとミニーさんと子宮筋腫のミッキーさん、プーさん、マーメイドさんと同じ部屋になった。
                  ゆずさん「こぶさん同じ部屋ね。」
                  こぶ「よろしくお願いします。」と挨拶して荷物を片付けていたら、
                  セリさんが、「こぶさん、久しぶりー。まだ治療していたの?」と、声を掛けてくれた。
                  こぶ「うん。でも今回が最後の入院なの。」とニッコリ。
                  セリさん「こぶさん良かったね!治療長かったから嬉しいでしょ。私は10月にセカンドする事になってね・・。」
                  こぶ「そうなんだ。ゆずさんもこの前セカンドしたんだよ。ねっ、ゆずさん。」と話を振って3人で話をしていたら、
                  トトロさんとメイさんが「こぶさん久しぶりー。私達今日来たのー。」と病室に入ってきた。
                  こぶ「私も今日来たんだよ。」
                  トトロさん「萩さんもゆべしさんも同じ部屋に入院して来たよ。」と教えてくれた。
                  めいさんの部屋には、ききょうさんが入院して来たそうだ。
                  
                  『あとで挨拶に行こう〜』
                  
                  話が終わったあと、外出届けを書いて一旦お家に帰った。
                  
                   夕飯に冷やし中華とサプリメントをたくさん飲んだ。
                  
                   20時頃病院に戻って来て、パジャマに着替えて萩さんとききょうさん達と話をして過ごした。
                   20時30分頃ナンちゃん先生が病室に挨拶に来たのでお互いに、
                  「明日からよろしくね。」と挨拶を交わした。
                  
                   先生が帰った後、
                  ゆずさんが「こぶさんの担当医はこぶさんに優しいわね。
                  私なんてお腹切ったのに、誰も来ないのよ。」と言ってきた。
                  こぶ「何で来ないの?」
                  ゆずさん「主治医のレモン先生はセカンドの後すぐに夏休みにを取ったし、担当の研修医(パッチリ先生)は忙しいのか来ないのよ。」
                  と言うのを、こぶはうなずいて聞いていた。
                  
                   明日から治療の為本日24時から蓄尿開始。
                  『緊張するー。』
2004年9月8日(水) 『MEA療法8クール目 1日目』

ゆずさん

萩さん

セリさん

メイさん

ピンクさん

トトロさん
体重は56kgからスタート。
                  
                   今日は朝の検温の後、看護師さんの許可を取ってシャワーを浴びることにした。
                  
                   6時30分頃、採血4本をナンちゃん先生にしてもらった後、シャワーを浴びに行った。
                   7時すぎに、1本目の流しの点滴ラクテック1000mlをナンちゃん先生につなげてもらったんだけど、針が入らず苦戦。
                  6回失敗された。
                  
                  ナンちゃん先生「前より腕かたくなってない?何で?退院中何かした?」
                  こぶ「うん。退院中ダンベル体操をね・・。」と、ペットボトルで作ったダンベルをTV見ながら振り回していた事を話すと、
                  ナンちゃん先生「鍛えるのは退院してからにして欲しかったなー。筋肉が邪魔して血管に針が刺さらないじゃん。僕の腕より硬いよ。」と、ナンちゃん先生はこぶに先生の腕を触ってみるように促した。
                  こぶ「私の方が硬いね。・・・ねぇ先生ちょっと休憩しない?コーヒー買いに行きたいな。」
                  ナンちゃん先生「そうだね。少し休もうか。」とちょっとホッとした様子。
                  こぶ「先生めげないでね。」と声を掛けると、
                  ナンちゃん先生「大丈夫。次にやる桔梗さんの方が大変だから。」と苦笑いして病室を出て行った。
                  
                   先生が帰ったあと、ゆずさんとマーメイドさんに、
                  「こぶさんよく我慢したね。あんなに失敗されたら文句言っても良いんじゃないの?」と言われたけど、
                  こぶ「先生つなぐの大変そうだったね。」とニッコリして、外来棟の自販機にコーヒーを買いに行った。
                  
                   コーヒーを買って病室に戻ると、こぶのベッドのテーブルに『三ツ矢サイダー』が置いてあった。
                  ゆずさん「萩さんが、こぶさんが以前飲んでいたからって置いていったわよ。」というので、隣の萩さんの病室にお礼を言いに行った。
                  こぶ「萩さんおはようございます。ジュースありがとうございます。」
                  萩さん「いいのよ。それより腕失敗されたの?」
                  こぶ「うん。こんなに失敗されたの初めてー。」と、絆創膏だらけの腕を見せて笑うこぶに、
                  萩さん「私もナンちゃん先生に失敗されたのよ。あの先生今日調子悪いみたいね。」と言いながら、萩さんも失敗された腕を見せてくれた。
                  こぶ「なんかね。筋肉がじゃまで針が刺さらないんだって。」と、その経緯を話すと、
                  萩さんと同室のトトロさんとゆべしさん達にも「それはこぶさんが悪いね。病人は運動しちゃだめだよー。」と笑われた。
                  萩さん「点滴つなげてもらう時に、ナンちゃん先生に『こぶさん若いのにがんばっててえらいねっ』て言ったら、先生が『こぶさんえらいよねー。がんばっていてすごいよね。』ってこぶさんのこと褒めていたのに、失敗しちゃ駄目よね。」と言われ笑った。
                  
                   こぶが話を終えて帰る時に、
                  萩さん「今回から点滴が変わってランダとトポテシンをしてるんだけど、昨日もんち先生に主な副作用は下痢で3日目から下痢するって言われたのよ。どれだけ下痢するんだろうねぇ。」と聞いてきた。
                  
                  野菜さんが以前ランダとトポテシンの治療の時に、下痢がひどくて苦しそうだったのを知っていたこぶは、『そりゃあ大変だ。』と思って、野菜さんが夜用ナプキンを持って来ていたことなどを話して自分のベッドに戻った。
                  
                   7時50分頃、再びナンちゃん先生がこぶのベッドに来た。
                  こぶ「先生どこに針入れたい?」と聞くと、
                  ナンちゃん先生は何も言わずに、こぶの手の甲を見ていた。
                  こぶ「みんなが手の甲は痛いよって言うからとっておいたんだけど、ここがいいならいいよ。」と言うと、
                  ナンちゃん先生「邪間にならないところに入れるね。」と、今度は一発でつないでくれた。
                  
                   先生が帰った後トイレに行くと、セリさんとメイさんとピンクさんに会った。
                  こぶ「おはようございます。」と挨拶すると、
                  セリさん達「こぶさん腕どうしたの?」と聞かれ、笑っていたら、
                  セリさん「最後の最後にやられたね。」とニヤッとされた。
                  メイさん・ピンクさん「こぶさん今回で最後かー。寂しくなるね。」
                  こぶ「やっと退院できるよ・・。」と話した。
                  
                   その後も顔見知りの患者さん達に会うたびに、「こぶさん、退院できるんだって?寂しくなるけど、良かったね。」と声を掛けられて、
                  『最後の入院がんばるぞー!』と思った。
                  
                   朝食にパン1枚とサプリメントをたくさん飲んだ。
                  
                   9時頃、トトロさんに呼ばれて病室に遊びに行くと、
                  萩さんのベッドの所でもんち先生に会った。
                  こぶ「先生。おはようございます。」
                  もんち先生「こぶさんおはよう。朝から元気そうだね。」
                  こぶ「うん。まだ水分点滴だからね。」
                  もんち先生「そっか。がんばってね。」
                  こぶ「それより先生目が赤いね。寝てないの?」
                  もんち先生「うん。」
                  萩さん「先生寝ていないとアレルギーがでて鼻がでるのよね。」と、萩さんが先生にティッシュを渡すと、
                  もんち先生「昨日2時間しか眠れなかったんだよね。」
                  萩さんに「先生そんなんじゃ体壊すよ。」と心配されて嬉しそうに笑っていた。
                  こぶが「先生萩さんに甘えてるー。」とからかうと、
                  もんち先生は、「そんな事ないよ。」と言って、急に主治医らしく萩さんと話はじめた。
                  
                   先生が帰った後、トトロさんに「こぶさん達の主治医は優しそうでいいな。」うらやましがられた。
                  
                   9時50分頃、パン1口と4時間おきのサプリメントを飲んだ。
                   11時40分頃、1本目の流しの点滴が終わった。
                  続けて2本目の点滴のカイトリルをつないだ。
                  
                   昼食に、ごはん半分とサプリメントをたくさん飲んだ。
                  
                   12時30分には3本目の流しの500mlの水分点滴をつないだ。これが半分になったらIVでメソトレキセートを入れる。
                  
                  これから抗がん剤のオンパレードになるから、4時間おきのサプリメントに色々プラスして飲んでおく。
                  
                   14時頃、IVでメソトレキセート150mlをナンちゃん先生が入れてくれた。
                  ナンちゃん先生に「こぶさんすごいよね。」と言われ、
                  こぶが聞き返すと、
                  ナンちゃん「メソトレキセートって白血病の人が使うお薬でね、白血病の人でも1日に5ミリしか入れないのに、こぶさんは15ミリってすごいよね。」
                  こぶ「そうだね。知らなかったよ。」と応えた。
                  
                   ナンちゃん先生が帰ったあと、
                  ゆずさんに「ナンちゃんがこぶさんに優しいのは、こぶさんが若いからかしらね。」
                  
                  こぶ「ナンちゃん先生は抗癌剤の注射をしに来たんだよ。」と説明したけど、納得のいかないゆずさんに、ぶつぶつと文句を言われた。
                  
                   14時30分頃、芋けんぴと4時間おきのサプリメントを飲んだ。
                  
                   15時30分頃、4本目のメソトレキセート300ml+水200ml入りの500ml点滴を記録室で看護師さんにつないでもらった。
                  その帰りに廊下で
                  ゆべしさんに「こぶさんオロナミンCつなげてる〜。いいな〜。」と言われた。
                  こぶ「違うよ抗癌剤!」と笑って言うと、
                  ゆべしさん「そうなの?栄養点滴つないでもらっているのかと思った。」と言われた。
                  病室に戻ると、ゆずさんもゆべしさんと同様に
                  「こぶさんおいしそうなのつなげてるね。(* ̄¬ ̄)σ」と言われた。
                  『抗癌剤だっつうの!』
                  
                   15時20分頃、ナンちゃん先生がこぶの所に来てくれた。
                  「こぶさん、元気にしてる?」
                  こぶ「うん。今の所元気。
                  ねぇ先生、今日シャワー浴びていた時に気付いたんだけど、お腹の腫瘍硬くなってる気が・・。」
                  ナンちゃん先生「こぶさんちょっと診察しようか。」と、ベッド脇のカーテンを閉めて診察してもらった。
                  ナンちゃん先生「本当だ硬くなってるね。
                  これ、今回の治療で溶けるといいね。」
                  こぶ「溶けないと切開するの?」
                  ナンちゃん先生「そうだね。でも大丈夫だよ。hCGは測定不能だし。」と言ってくれた。
                  
                   16時頃、お菓子と4時間おきのサプリメントを飲んだ。
                  
                   16時30分頃、タコ先生ともんち先生がこぶの所に来た。タコ先生は病棟回診の途中らしい。
                  もんち先生「こぶさん、採血データ持って来たよ。
                  WBC(白血球)もHGB(ヘモグロビン)も問題なし!良かったね。」と話していたら、
                  病室の患者さんと話し終えたタコ先生が、
                  「こぶさんの病気は珍しいから、学会でレポートを提出する・・。」とかなんとか言ってきた。
                  その横でもんち先生は「こぶさん、退院してからなんだけど、基礎体温つけてね。」
                  タコ先生「2日おきでいいから。」と言って2人とも病室を出て行った。
                  
                   もんち先生が置いて行った採血結果を見て「あっ。」というと、病室を出て行ったもんち先生が、「こぶさんどうしたの?」と戻って来た。
                  こぶ「ALT(肝機能の数値)が上がってる。」
                  もんち先生が、「ああこれね。心配ないよ。こぶさん退院中お酒飲んだでしょ。それでだよ。」
                  こぶ「そっか。」と返事。
                  
                   夕食に、味噌汁の具とごはん半分、サプリメントをたくさん飲んだ。
                  
                   18時頃しゅうちゃんに電話して、タコ先生ともんち先生に言われた事を話した。
                  『1日1回はしゅうちゃんの声聞かないとね。』
                  
                   19時30分頃、5本目のベプシドをつなげてもらおうと、トイレの帰りに記録室に寄った。
                  看護師さん「こぶさん、わざわざ寄らなくていいのに・・。」
                  こぶ「歩けるうちは来るよ。」
                  
                   20時30分頃、6本目の流しの点滴をつないだ。これが半分になったらIVでコスメゲン。
                   21時頃、お菓子と4時間おきのサプリメント。
                  
                   21時30分頃、点滴が半分になり、IVでコスメゲン5mlをパッチリ先生が入れてくれた。
                  パッチリ先生にこぶが、「今までお世話になりました。」と言うと、
                  パッチリ先生「こぶさんお疲れ様でした。必ず良くなるからね。」と言ってくれた。
                  
                   パッチリ先生が帰ったあと、またゆずさんに「パッチリ先生は私の担当医なのに・・・ブツブツ。」と、言われ、
                  こぶ「パッチリ先生は抗癌剤の注射をしに来たんだよ。」と説明したけど、「ブツブツ」は止まらない。
                  
                  『なんなんだ?毎回毎回!』
                  
                  22時20分頃ようやく点滴が終わりヘパロックした。
                  『たくさん人と話して楽しかったけど、すごく疲れた・・。』
2004年9月9日(木) 『MEA療法8クール目 2日目』

萩さん

メイさん
 朝6時の検温の後、ナンちゃん先生が点滴をつなげに来たんだけど、すごく眠いのでまた後でつなげてもらう事にした。
                  
                   6時20分頃、パッチリ先生もこぶのベッドの所に、
                  「こぶさん点滴つなげようね。」と来た。
                  こぶ「眠くて・・・あとでお願いします。」と言うと、
                  パッチリ先生「万が一針の差し替えになっても、僕もナンちゃん先生も7時から手術でいないから・・。」といわれたので、仕様がないから急いで看護師さんの許可を取って目覚ましシャワーを浴びた。
                  
                   6時50分頃、病室に戻ってナンちゃん先生に1本目の流しの水分点滴500mlをつなげてもらった。
                  ナンちゃん先生「こぶさん、朝、僕が来た時相当眠かったんだね。声掛けたら、『ふにゃ』って言ってたんだよ。ふにゃって。」とニッコリされて恥ずかしくなった。
                  
                   7時頃萩さんがこぶのベットに来てくれた。
                  萩さん「こぶさん、どうも下痢が始まったみたいで、朝から調子悪くて・・・。」
                  こぶ「看護師さんに湯たんぽ頼もうか?・・・あとナプキンどうぞ。」
                  萩さん「ナプキンくれるの?ありがとう。
                  売店に行って買って来るのもしんどくてねぇ。」
                  こぶ「いつでもどうぞ。」とニッコリ。
                  
                   朝食にパン1枚とサプリメントをたくさん飲んだ。
                   9時頃、もんち先生が来た。
                  こぶ「先生。おはようございます。」
                  もんち先生「こぶさんおはよう。今日も元気そうだね。」
                  こぶ「うん。元気。私は元気なんだけど、萩さんしんどそうだね。」
                  もんち先生「萩さんはしょうがないねー。これやらないと癌が小さくならないから。」など、萩さんについて話をした。
                  
                   10時頃、パン1口と4時間おきのサプリメントを飲あと、口内炎防止のロイコボリンを看護師さんに肩に筋注してもらった。
                  
                   11時頃、2本目のベプシドを看護師さんにつなげてもらった。
                  昼食に、ごはん半分と鮭とサプリメントをたくさん飲んだ。
                  
                   12時頃、3本目の流しの500mlの水分点滴をつないだ。これが半分になったらIVでコスメゲン。
                   13時頃、4時間おきのサプリメントを飲んだ。
                   14時30分頃、IVでコスメゲン5mlをナンちゃん先生に入れてもらった。
                  
                  ナンちゃん先生「こぶさん、また来るね。これから3人手術があるから何時に来れるか分かんないけど・・。」
                  こぶ「元気だし、無理して来なくてもいいよ。」
                  ナンちゃん先生が帰ったあと、
                  ゆずさんに「またこぶさんの所に先生が来たわね。」と、言われ、
                  こぶ「昨日も言ったけど、先生は抗癌剤の注射をしに来たんだよ。」
                  ゆずさん「あらそうなの。あなたも大変なのねぇ。(*^-ェ-),」だって。
                  
                   15時20分頃、点滴が終わり看護師さんにヘパロックしてもらった。
                   16時頃から気持ちが悪くなって、頭に氷枕をしてベッドでじっとしていた。
                  
                   17時45分頃、夕食の案内のアナウンスがあり、廊下に夕食のトレーを取りに行った。
                  きょうのメインディッシュはビーフシチューだった。
                  こぶが、『無理だな。食べられないや。』と思っていたら、
                  メイさんが「肉禁にしたら、本当に肉類が出ないのね。ビーフシチュー食べたいなー。」と、看護師さんに言っていたのを聞いて、
                  こぶ「メイさん、私のビーフシチューとお魚交換しない?」と、声を掛けた。
                  メイさん「こぶさんいいの?」
                  こぶ「うん。」と言うと、
                  メイさん「交渉成立。」と言って、それぞれのおかずを交換した。
                  
                   夕食に、あゆ2匹とごはん半分、サプリメントをたくさん飲んだ。
                  
                   18時頃、しゅうちゃんが、アイスと麦茶を持って来てくれた。
                  
                  『ありがとうね。』
                  
                   19時頃、教授回診。
                  教授「こぶさん、どう?」
                  こぶ「元気です。」
                  教授「良かったね。基礎体温について・・。」と、教授に基礎体温の付け方や見方の指導を受けている間、もんち先生はニコニコして教授の横に立っていた。
                  
                  助教授にも、「こぶさん、がんばったね。」と声を掛けられ、
                  こぶ「今までありがとうございました。」と、挨拶をした。
                  帰り際に、主任先生に、「あと3日間がんばって!」と、声を掛けられた。
                  うれしい。
                  
                   回診が終わった後は、消灯時間になるまでゆずさんや病室の患者さん達と話をして過ごした。
                  
                   21時頃、お菓子と4時間おきのサプリメントを飲んだ。
                  
                  頭が割れるように『ズキズキガンガン』してきたから氷枕をして眠った。
2004年9月10日(金) 『MEA療法8クール目 3日目』

ミニーさん

ゆずさん
寒気がする』
                   朝の検温のあと、看護師さんに湯たんぽをお願いした。
                  
                   6時20分頃、ナンちゃん先生が1本目の水分点滴500mlをつなげてくれた。
                  
                   その後、デイルームに、【クレヨンしんちゃん】5・6巻と【週刊新潮】を借りに行く。
                  病室に戻る時に、顔見知りの患者さんにバウムクーヘンをもらった。
                   
                   朝食の時、ミニーさんが今日退院する前に第一子出産の時にお世話になった産婦人科の師長さんに会いに行くというので、あとで、こぶも一緒について行く事にした。
                  
                   今日のこぶの朝食は、さっき貰ったバウムクーヘン1個とサプリメントの山だった。
                  
                   9時頃、もんち先生がこぶのベッドに来て、「こぶさん、15日MRI撮りに来てね。」
                  こぶ「15日かぁ。4回目の結婚記念日の日だ。」
                  もんち先生「そうなんだ。おめでとうございます。
                  でも、今月中にMRI撮りたいんだよね。
                  予約午前中にするから。良い?」
                  こぶ「うん。午前中なら。・・・先生、今日産科の師長さんいる?」
                  もんち先生「師長?いるよ。何?遊びに行くの?」
                  こぶ「うん。お世話になったから挨拶に行くの。ミニーさんと一緒にね。」
                  もんち先生「こぶさん緊急でよく産科に行ったもんね。」
                  こぶ「それだけじゃないよ。初めて入院した日に、タコ先生にいきなり抗癌剤の話されて、私がパニックになっていた時になぐさめてくれたの。」
                  もんち先生「あー。・・・あの時かぁ・・。」と話す。
                  
                   10時頃、口内炎防止のロイコボリンを看護師さんに肩に筋注してもらっている時、気持ちが悪くなって、『うえっ』と、少し戻した。
                  看護師さんがびっくりして「先生にカイトつなげていいか聞いてくるね。」と、先生に聞きに行ってくれた。
                  
                   10時20分頃、サプリメントをたくさん飲んだ。
                  カイトリルも看護師さんにつなげてもらった。
                  
                   11時頃、カイトリルの点滴が終わり、看護師さんにT字型の連結管からはずしてもらった。
                  
                   ミニーさんと2人で産科に遊びに行った。
                  産科の記録室にいた看護師さんに、
                  「あー!こぶさん、久しぶり!」と、声を掛けられた。
                  こぶ「今日はミニーさんと師長さんに会いに来たの。」
                  看護師さん「師長なら、保育室で授乳の指導しているから後で来たら?」と言うので、その場にいた看護師さんともんち先生とで少し話をして婦人科に戻った。
                  
                   11時30分頃、2本目のベプシドを看護師さんにつなげてもらった。
                   昼食は食べずに、サプリメントをたくさん飲んだ。
                  
                   12時頃、3本目の流しの500mlの水分点滴をつないだ。これが半分になったらIVでコスメゲンを入れる。
                  
                   14時30分頃、点滴が半分になりナースコールで先生を呼ぶと、もんち先生が来てくれた。
                  もんち先生に「こぶさん、コスメゲン(5ml)のIVね。よろしくー。」
                  こぶ「先生今日外来の日じゃない?外来はいいの?」
                  もんち先生「14時に終わらせて来た。」とニッコリ。
                  こぶ「そうなんだ。先生、コスメゲン一気に入れると気持ち悪くなるから、ちょっとずつ入れてね。」
                  もんち先生「了解。・・・ねえこぶさん、ちょっとずつってよく言うけど、一気に入れられた事があるの?誰?誰?」と聞かれ、
                  こぶ「研修医じゃない先生。」
                  もんち先生「婦人科の先生かぁー。たまに頼んでいたからなぁ。
                  本当は自分が、こぶさんのIV出来たらな、・・良かったんだけど。」
                  こぶ「先生来てくれてありがとうね。」とニッコリするこぶの横で、
                  もんち先生はのんきに、「IV上手いねー。・・・上手いねー。・・・上手いねー。」と連呼して自分をほめていた。
                  こぶが、「言おうと思ったのに。」と言うと、もんち先生は声を出して笑っていた。
                  
                   15時20分頃、点滴が終わり看護師さんにヘパロックしてもらった。
                  
                   16時頃、ミニーさんと再び産科病棟へ行ってみたけど、師長さんは会議中で結局会うことが出来なかった。
                  やる事がなくなってしまったので、ミニーさんのご主人が迎えに来るまでの間、病室のみんなでミニーさんの出産秘話やB医科大の出産費用とかを聞いて過ごした。
                  
                  ミニーさん「出産した時、立ち合ってた研修医の先生に会って挨拶したら、その先生覚えてないのよー。むかつく!」
                  こぶ「誰?誰?何でむかつくの?」
ミニーさん「レモン先生とニコニコ先生が立ち会ったんだけどさー。出産した日が丁度ダイエーホークスの優勝セールの初日でね。人が陣痛で苦しんでいる横
で、『これ終わったらダイエーに行かなくちゃ』とか『何買おうかな』とか、2人で楽しそうに話してるんだもん。むかつくじゃん。」
ゆずさん「私の主治医のレモン先生は、マイペースな先生だから。」
                  ミニーさん「マイペースっていうか、早く生めって感じの態度だった。」
                  こぶ「それはイヤだね。私も胞状奇胎の処置の時、院長が忘年会の話してたのはむかついたもんね。」
                  ミニーさん「コミュニケーションは大事だと思うけどちょっとねぇ。」と話していたら、ミニーさんのご主人が迎えに着た。
                  
                   ミニーさんはこぶ達病室の患者さんに挨拶にした後、帰って行った。
                  
                   17時頃しゅうちゃんが梅干おにぎりを作って来てくれた。
                   17時45分頃、夕食の案内のアナウンスがあったけど食べられそうもないのでそっちはパスした。
                   夕食に、しゅうちゃんのおにぎり1個とサプリメントをたくさん飲んだ。しゅうちゃんの手を握りながらおにぎりを食べた。
                  
                   18時頃、しゅうちゃんをエレベーターホールまで見送って病室に戻った。
                   その後、お腹の辺りに鈍い痛みと吐き気がしてきたから、氷枕とお腹に湯たんぽをあてて眠った。
2004年9月11日(土) 『MEA療法8クール目 4日目』

ゆずさん
朝から寒気と頭痛がする。
                  検温の後、看護師さんに湯たんぽと氷枕をお願いした。
                  
                   6時20分頃、ナンちゃん先生に1本目の水分点滴500mlをつなげてもらった。
                  ナンちゃん先生「こぶさん大丈夫?」
                  こぶ「だめ。吐き気で気持悪いし、頭痛い。」
                  ナンちゃん先生「しんどいね。でも明日で終わるからがんばって。」
                  こぶ「うん。がんばる。」と、返事。
                  
                   7時頃、看護師さんが湯たんぽと氷枕を持って来てくれたので、ついでに嘔吐に備えてこぶのベッド周りのカーテンを閉めてもらった。
                  
                   朝食に、しゅうちゃんおにぎり半分とサプリメントをたくさん飲んだ。
                  
                   10時頃、ベッドで眠っていたら突然吐いた。
                  吐いた内容物を確認したら、おにぎりが消化できていなかった。
                  『また痩せちゃうなぁ。』
                  
                   11時頃、2本目のべプシドを看護師さんにつなげてもらった。
                   昼食に、しゅうちゃんおにぎり半分とサプリメントをたくさん飲んだ。
                  
                   12時頃、3本目の流しの500mlの水分点滴をつないだ。これが半分になったらIVでコスメゲン。
                  
                   14時30分頃、点滴が半分になって、ナンちゃん先生が来てくれた。
                  ナンちゃん先生「こぶさん、コスメゲン(5ml)のIVの時間だよ。」
                  こぶ「お願いします。ゆっくり入れてね。」
                  ナンちゃん先生「まかせて。」とニッコリとしながら、
                  ナンちゃん先生「今のこぶさんには、この点滴はきついよねー。」と、しみじみと言われた。
                  こぶ「今の私?」
                  ナンちゃん先生「そう。マーカーが測定不能の今のこぶさんの体には、良い細胞が100%で悪い細胞が全然ないじゃん。そこを抗癌剤が攻撃しているんだもん。つらいよねー。」
                  こぶ「うん。でもあと少しだからがんばる。」と返事。
                  
                   15時20分頃、点滴が終わり看護師さんにヘパロックしてもらった時に、朝もらった湯たんぽがぬるくなったから、湯たんぽの『おかわり』を頼んだ。
                  
                  『この病棟では何故か患者さん達はみなさん、氷枕や湯たんぽを交換する事をおかわりって言うんだよねー。誰が言い始めた事なんだろう?』
                  
                   16時頃、トイレの帰りにエレベーターホールに寄って、公衆電話からしゅうちゃんに電話でナンちゃん先生に言われた事なんかを話した。
                  通りかかったもんち先生や主任先生が電話中のこぶを見てニヤニヤしながら通り過ぎて行った。
                  
                  『笑うなんて、恥ずかしいじゃん。もー。』
                  
                   夕食に、カロリーメイトゼリーとサプリメントをたくさん飲んだ。
                  
                   夕食の後、吐き気と頭痛がピークになって、TVや本を読む気にもなれず、ただひたすらベッドで氷枕とお腹に湯たんぽをして痛みに耐えていた。
                  
                   19時頃、ベッドで体勢を変えようと動いた途端に吐いた。
                  吐いていたら、こぶのベッドのカーテンを開けてゆずさんが入ってきて
                  ゆずさん「こぶさんつらそうね。」と、言いながらこぶの背中をさすってくれた。
                  吐き終わった後も「こぶさんつらそうだから。」と言ってくれて、ピンクの容器をトイレの隣にある処理室に持って行ってくれた。
                  『ありがとうございます。』
                  
                  その後も吐き気が治まらずベッドで横になって唸っていたら、
                  マーメイドさん「ナースコールする?」と声を掛けられた。
                  こぶ「大丈夫。いつもの事だから。」と、返事をした。
                  
                   19時10分頃、ゆずさんが、ピンクの容器におかわりのビニール袋を縛り付けて戻って来た。
                  こぶ「ゆずさん、ありがとう。」
                  ゆずさん「いいのよ。気にしないで。」と、言ってくれた。
                   19時30分頃、再び吐き気に襲われ、ピンクの容器のお世話になった。
                  この時もゆずさんが気付いてくれて、こぶの背中をさすってくれた。
                  
                  『今回の吐き気は、突然何の前触れもなく吐くし、吐いた後胃がむかむかしないでスッキリする所がいつもと違うなぁ。』
                  
                   20時頃、ベッドに横になりながら、ゆずさんとマーメイドさんと話をして過ごす。
                  といっても話すと胃が動いて吐きそうになるからほとんどおとなしく聞いていただけなんだけどね。
                  
                   マーメイドさんの主治医もこぶと同じもんち先生で、
                  マーメイドさん「こぶさん、もんち先生がね。手術前の説明の時、『マーメイドさんは子宮筋腫だけど将来癌になる可能性は否定出来ませんが、まだ若いので子宮は取らずに残して手術します。』って言うのよ。」
                  こぶとゆずさん「それで?」
                  マーメイドさん「どうせあと4〜5年で更年期になるんだし、将来癌になる可能性があるんなら子宮取ってくださいってお願いしたの。そしたら、もんち先生『自分から子宮摘出を望むなんて・・。』ってかなりびっくりされちゃった。」
                  ゆずさん「大丈夫なの子宮取っちゃって。」
                  マーメイドさん「平気平気。将来癌になりたくないからね。」
                  ゆずさん「そうねぇ。私達のようにはなりたくないわよね。」
                  こぶ「マーメイドさんお子さんいるしね。・・・それより、パジャマかわいいね。」
                  マーメイドさん「ああこれ?派手で恥ずかしいんだけど、友達がくれたから。」
                  こぶ「似合っててかわいい!」と言うと、マーメイドさんは恥ずかしそうに笑っていた。
                  少ししゃべっただけなのに、吐き気がしてきたので話を切り上げ、こぶはおとなしく眠る事にした。
                  
                   21時頃、看護師さんが患者さんから預かっている眠剤を配りに来たついでに、
                  看護師さん「こぶさん、大丈夫?」と声を掛けてくれた。
                  こぶ「19時頃2回吐いた・・・。」と、話している最中にもまた吐き気に襲われ、看護師さんの前でピンクの容器に吐いた。
                  吐いていたら、またゆずさんが来てくれてこぶの背中をさすってくれた。
                  看護師さん「あっ。吐いちゃった?今もんち先生が勉強会から帰って来て記録室にいるから、カイト使っていいか聞いてくるね。」
                  こぶ「明日の朝もカイトしていいなら・・オエ〜。」
                  看護師さん「それも聞いてくるね。」と病室を出て行った5分後、
                  看護師さんがカイトリルの点滴を持って戻って来てくれた。
                  こぶ「ありがとう。」と言うと、
                  看護師さん「すぐ楽になるからね。私と話したばかりにごめんね。」
                  こぶ「看護師さんが悪いんじゃないよ。ありがとう。」と、点滴を作って持ってきてくれた看護師さんにお礼を言った。
                  
                   22時頃、再び吐き気に襲われ、ピンクの容器に吐いた。
                   22時30分頃、カイトの点滴と氷枕がぬるくなりナースコールをした。
                  
                  その5分後ぐらいに、看護師さんが来てT字連結管からカイトリルをはずし、ヘパロックしてくれた。
                  看護師さん「こぶさん、おかわり持ってくるね。」と言って、ピンクの容器を処理室へと持って行ってくれた。
                  23時頃、ようやく吐き気が治まり眠る事が出来た。
2004年9月12日(日) 『MEA療法8クール目 5日目(最終日)』

ゆずさん

梅さん

桔梗さん

セリさん
 朝の検温のあと、看護師さんにカイトリルの点滴をつなげてもらった。
                  また今日も寒気と頭痛がするから、看護師さんに湯たんぽと氷枕をお願いした。
                  最近のこぶは、病室の換気扇が回るだけで冷房をつけているように寒く感じるので、湯たんぽは必需品です。 
                  『体力が落ちたからかなぁ・・・』
                  
                   6時10分頃、ナンちゃん先生が1本目の水分点滴500mlをつなげてくれた。
                  ナンちゃん先生「こぶさん大丈夫?」
                  こぶ「4時頃から、吐き気で気持悪くて・・・。」
                  ナンちゃん先生「しんどいね。でも今日がラストだからがんばって。」
                  こぶ「うん。がんばるけど、蓄尿はなぁ。」
                  ナンちゃん先生「水分とれていなくても、溜めなきゃね。それじゃあまた来るね。」と病室を出て行った。
                  
                   6時30頃、毎週日曜日恒例の体重測定。
                   病室の患者さん達に「行ってきます!。」の挨拶をしてから、体重を量りに記録室へ。
                  結果は、54.5kg。今回はあまり体重が減っていなかった。
                  
                  『良かった。』
                  
                  この帰りに梅さんと桔梗さんにばったり会ったので挨拶したんだけど、
                  梅さんと桔梗さんは、「あっ・・・こぶさん、どうも。」とそっけなくされた。
                  『いつもなら笑顔で挨拶してくれるのに変なの。』
                  
                   6時40分頃、看護師さんが湯たんぽと氷枕を持って来てくれたついでに、こぶのベッド周りのカーテンを閉めてくれた。
                  
                   7時頃、今日もすでに疲れた顔のもんち先生が来てくれた。
                  もんち先生「こぶさん、起きてる?昨日は大変だったね。今回が一番つらいんじゃない?」
                  こぶ「うん。なんかねー。吐きけがひどくって、朝からカイトつなげてもらったんだけど、また使っても良い?」
                  もんち先生「良いよ。」とニッコリしてくれた。
                  こぶ「それと、明日から火曜日まで外泊したいな。」
                  もんち先生「大丈夫なら良いよ。なんなら今日からでもいいけど終わってからはきついよね。」
                  こぶ「うん。明日の14時頃帰る。」
                  もんち先生「外泊届け書いておくね。」
                  こぶ「よろしくお願いします。それと、尿なんだけど溜めなくちゃだめ?溜めるのきついんだけど。」
                  もんち先生「だめだね〜。データ取ってるからね。こぶさんは、腎肝に問題がないけど、だめだよ。」
                  こぶ「朝、ナンちゃん先生にもだめって言われたんだよねー。最高いつまで溜めればいい?」
                  もんち先生「夜12時。」
                  こぶ「それってきっちり溜めろって事?おまけしない?」と言うと、
                  もんち先生は笑いながら「しないよ。がんばって。」と言って病室を出て行った。
                  
                   先生が帰った後、すごい勢いで吐いた。
                  吐いていたら、看護師さんが気付いてくれて、ピンクの容器の中身を捨てに行ってくれた。
                  
                  『カイト効かないなぁ。』
                  
                  朝食に、カロリーメイトゼリーとサプリメントをたくさん飲んだ。
                  
                   10時30分頃、2本目のべプシドを看護師さんにつなげてもらった。
                  昼食は食べずに、サプリメントをたくさん飲んだ。
                  
                   11時30分頃、3本目の流しの500mlの水分点滴をつないだ。これが半分になったらIVでコスメゲン。
                   13時40分頃、点滴が半分になり、ナンちゃん先生が来てくれた。
                  ナンちゃん先生「こぶさん、コスメゲン(5ml)のIVの時間だよ。」
                  こぶ「お願いします。」
                  ナンちゃん先生「こぶさん・・しんどそうだね。」
                  こぶ「うん。でもがんばる。」
                  ナンちゃん先生「そうだね。これが最後の点滴なんだし・・・がんばってね。」
                  こぶ「うん。あと少しだからがんばる。」と返事。
                  
                  IV(静脈注射)の間黙っていたゆずさんが、
                  「こぶさんつらそうだし、わたし暇だから遊んでくるわね。」と、声を掛けてきた。
                  こぶ「いってらっしゃい。」
                  
                   14時30分頃、最後の点滴が終わって看護師さんに針を抜いてもらった。
                  
                  看護師さん「こぶさん、8クールお疲れ様でした。」
                  
                  こぶ「ありがとう。私にもこんな日が来るなんてねぇ。・・・未だに信じらんないよ。」
                  看護師「良かったね。」と、ニッコリしてくれた。
                  
                    15時50分頃、吐き気で水も食事も取れないから、しゅうちゃんに電話して、「お見舞いに来てくれない?」と、お願いしたら、
                  しゅうちゃんが「良いよ。夕方には行くよ。」と、言ってくれた。
                  『しゅうちゃんありがとう。』
                  
                   電話の帰りにトイレに行くと、セリさんに会った。
                  こぶ「こんにちは。」
                  セリさん「こぶさん、どうも。・・・ねぇ、ちょっといい?」
                  こぶ「何、何?」
                  セリさん「ゆずさんが、梅さんと桔梗さんの病室でこぶさんの事を、『先生達はみんな、こぶさんにやさしい』とか、『私はあんなに吐かなかったもの。病院の資料に書いてあるけど、こぶさんがあんなにつらいのは、精神が弱いのよ。同情されたいのかしらね〜。』とか言ってるの知ってる?」
                  
                  こぶ「知らなかった。『同情されたい』ってねぇ。私は、3剤併用で毎日薬が入るし、この薬は、吐き気が強く出る薬なの。それに、同じ薬でも人によって副作用の出方がちがうじゃん。一緒にされてもねぇ。」
                  セリさん「そうだよね。そもそもこぶさんは、私達みたいに1日目だけ薬が入るわけじゃないんだよねぇ。」
                  こぶ「うん。」
                  セリさん「梅さん達の病室に毎日来るらしいのよ。」
                  こぶ「そうなんだ。教えてくれてありがとう。」と、挨拶した後、
                  
                  『どうして梅さん達が、こぶにそっけなくなったのかようやく理解できた。ゆずさんは、こぶと30歳以上離れているのに大人気ないなぁ。』
                  
                   17時頃、しゅうちゃんが「クーリッシュ」のアイスを買って来てくれた。
                  しゅうちゃんに、ゆずさんが他の病室でこぶの文句を言っている事を話すと、
                  しゅうちゃん「妻がゆずさんに直接言われた訳じゃないんだし、気にしないでいいんじゃない?これ早く食べないと溶けちゃうよ。」とクーリッシュを差し出した。
                  こぶ「そうだね。」と返事はしてみたけど、
                  
                  『梅さんと桔梗さんがゆずさんの話を信じるなんてなぁ。ショックかも。』
                  
                   夕食に、クーリッシュとサプリメントをたくさん飲んだ。
                   18時頃、しゅうちゃんをエレベーターホールまで送った帰りに、看護師さんに声を掛けられた。
                  看護師さん「今話して大丈夫?」
                  こぶ「うん。」
                  看護師さん「言いにくい事なんだけど・・。ゆずさんの事聞いてる?」
                  こぶ「うん。さっき患者さんから聞いたけど、気にしない事にした。」
                  看護師さん「そう?大丈夫?」
                  こぶ「うん。心配してくれてありがとう。」
                  
                   19時頃から22時頃まで、吐き気と頭痛でTVや本を読む気にもなれず、ただひたすらベッドで痛みをがまんしていた。
                  
                  『何か疲れたな。』
2004年9月13日(月) 『オトナゲナイ』

萩さん

野菜さん

桔梗さん

ゆずさん
朝の検温のあと、看護師さんに朝方からお腹に《ズキッ》とした痛みがあることとかを伝えてしばらく話ていたら、
                  看護師さん「こぶさん、お腹痛いこと、ナンちゃん先生だけじゃなく、もんち先生にも話してね。ナンちゃん先生からもんち先生に話がいかないから・・。」
                  こぶ「・・・そうなんだ。」
                  看護師さん「もんち先生は外来に出てる時だってこぶさんを心配して電話して来るんだから。
                  話さないと先生がかわいそうじゃん。」と言われた。
                  
                  『もんち先生はいつもこぶを気にしてくれていたんだなぁ。先生ごめんね。』
                  
                   朝食にパン1枚とサプリメントをたくさん飲んだ。
                  
                  久しぶりに固形物を口にしたせいか、吐き気がしてきて吐いた。
                  
                   8時45分頃、教授回診。
                  教授に、
                  こぶ「長い間お世話になりました。」と挨拶すると、
                  教授「こぶさん、良かったね。」と、ニッコリしてくれた。
                  教授の隣にいた、
                  もんち先生とナンちゃん先生に「外泊するのは良いけど、熱が出たら戻ってくるんだよ!」と言われた。
                  こぶ「OKです!」と返事。
                  
                   9時頃、萩さんが今日退院するから挨拶に行った。
                  こぶ「萩さん何時頃帰るの?」
                  萩さん「10時頃。こぶさん、今までありがとう。もう戻って来ないのよ。」
                  こぶ「萩さんお世話になりました。外来で会いましょうね。」
                  萩さん「そうね。外来で会おうね。」と、握手をした。
                  
                   萩さんの病室から戻る時、野菜さんに会った。
                  野菜さんは、看護師さんと歩行器を使ってリハビリをしていた。
                  (野菜さんは7月に右足を骨折して、整形外科に1ヶ月近く入院していた。)
                  野菜さん「こぶさん、まだいたのー?」
                  こぶ「うん。でも今回が最後の入院なの。それより、歩けるようになったんだね。」
                  野菜さん「そうなのよー。それでやっとここ(婦人科)に戻って来れたわよー。」
                  こぶ「良かったね。」
                  野菜さん「うん。あなたも退院できて良かったわね。心配していたから嬉しいよ。」と言ってくれた。
                  
                   11時頃、地下の売店にコーヒー牛乳とメロンパンを買いに行った。
                  
                  売店から戻ると、ゆずさんのベッドに桔梗さんが遊びに来ていた。
                  桔梗さん「あらこぶさん、まだ居たの?」と、相変わらずそっけない。でも気ににせず、
                  こぶ「こんにちは。」と挨拶をして、買って来たコーヒー牛乳を飲みながら、『少年アシベ』(以前まりもさんの娘さんにいただいた)の単行本を読みはじめた。
                  
                   しばらくすると、なんだか騒がしくなってきた。
                  桔梗さんとゆずさんがもめているようだ
                  
                  こぶは『?桔梗さんが怒っている?』とチラッと桔梗さんを見ると、
                  桔梗さんに気づかれた。
                  桔梗さん「こぶさん私ね、生きている間ずっと抗癌剤をしないといけないのに、(桔梗さんは脳に血栓が出来た事があるから手術ができない。)ゆずさんが私を羨ましいって言うのよ。」と一気に言った。
                  こぶ「ゆずさん。桔梗さんが羨ましいの?」
                  ゆずさん「羨ましいわよ。私みたいにお腹切らないんだし、一生点滴するって割には元気そうだし。
                  副作用があまり出ない薬使っている人はいいわね。
                  私は手にしびれが・・。」とゆずさんがまだ話しているところに、
                  桔梗さん「抗癌剤したって言ったって、手がしびれているだけで、そんなに痩せずに髪の毛もあまり抜けずに残っているんだもんねぇ。
                  それに、私だって手術ができるんだったらしたいわよ。
                  手術ができたあなたが羨ましいわよ。」と、話しながらゆずさんのベッドからこぶのベッドにジリジリ近づいてきた。
                  
                  ゆずさん「そう?手術しない桔梗さんのほうが羨ましいけどなぁ。」
                  桔梗さん「だ か ら、手術したくてもできないの!」
                  こぶ「ゆずさん相手の事情も考えて話さないと・・。」
                  ゆずさん「あっそう!。」と、ふてくされて病室を出て行ってしまった。
                  
                  桔梗さん「ゆずさんは『自分だけが大変』って思っているところがあるけど、私達に比べたらあの人全然大変じゃないわよね。」
                  こぶ「うん。治療は6クールするところ3クールで終了しているしね。
                  お腹切ったのは大変だろうけどね。」
                  桔梗さん「そうよねぇ。」と言って病室に戻って行った。
                  
                   桔梗さんが帰ったあと、こぶは気持ちが悪くなって、さっきのコーヒー牛乳を吐いた。
                  
                  『胃に重かったらしい。』
                  
                   昼食は、食べずにベッドで眠っていた。
                  マーメイドさんがご飯を食べずに横になっているこぶを心配してくれた。
                  『マーメイドさんありがとう。』
                  
                   13時頃までベッドで横になって過ごした。
                   13時30分頃、ベッドから起き上がり、お家に帰る準備をしていたら、
                  ゆずさんが、「あらこぶさん。起きたの?」と、声を掛けてきた。
                  こぶ「うん。14時に主人が迎えに来るから・・。」
                  ゆずさん「そういえばあなた帰るのよねぇ。・・・ねぇ。・・・こぶさん、さっきの話いいかしら・・・。」
                  こぶ「さっきのって、桔梗さんのこと?」
                  ゆずさん「そう。私やっぱりまずい事言ったのかしら。」
                  こぶ「うん。副作用があまり出ないって言っていたけど、桔梗さんのお腹から管が出ているの気付いてなかったの?抗癌剤の副作用で腹水が溜まるようになって出しているんだよ。」
                  ゆずさん「知っていたんだけど、腹水は抜いたら楽になるし、私の痺れよりは・・・。」
                  こぶ「人の事羨ましがっていたら、駄目だよ。」
                  ゆずさん「そうか・・。」と、少しはこたえたみたいだった。
                  
                   14時過ぎに、しゅうちゃんが迎えに来たので、病室の患者さん達や看護師さんに挨拶をして外泊届けを書いてお家に帰った。
                   15時30分頃お家に到着。
                  そのままとなりのスーパーにお昼ご飯を買いに行く。
                  
                   16時頃、買って来た冷やし中華と餃子、サプリメントをたくさん飲んだ。
                  食べたあと、19時ぐらいまで布団に横になって眠って過ごした。
                  
                   20時頃、しゅうちゃんが作ってくれたごはんを少しと、サプリメントをたくさん飲んだ。
                  
                  9月とはいえまだまだむし暑くて、夜は氷枕をして眠った。
2004年9月14日(火) 『悲しいね』

ゆずさん

温泉さん
今日も朝からだるくてしゅうちゃんがお昼に戻ってくるまで布団で寝て過ごした。
                   12時過ぎにしゅうちゃんが戻ってきたので、昼食にトマトとレタス大盛りで冷やし中華を作ってもらって食べた。
                  
                  昼食の後、しゅうちゃんがこぶをドライブに誘ってくれたので、近所をドライブした。
                  約1時間ほど車で走って、14時過ぎにお家に到着した。
                  少し休んでからシャワーを浴びた。
                  体を洗っているときに、お腹の左側にある腫瘍の辺りを触ってみたら、とってもやわらかくなっていた。
                  
                  『完全に溶けた?・・・それにしても、以前はお腹を洗うたびに硬くなっていくお腹を触って悲しくなって泣いていたのに、今は腫瘍のある部分を平気で触れるようになるなんて・・・こぶも成長したというか度胸がついたなぁ。』
                  
                  シャワーを浴びたら疲れたから布団で18時頃まで眠った。
                  
                   夕食にお刺身とほうれん草のおひたしとサプリメントをたくさん飲んだ。
                  
                   19時40分頃お家を出て病院には20時20分頃到着した。
                  病室に戻ると、
                  マーメイドさん「こぶさんお帰りー。今日こぶさんに、かりんさんて方が会いに来てたよ。
                  それでこぶさん今回が最後の入院だって言ったら喜んでいたよ。」と教えてくれた。
                  こぶ「かりんさんに会いたかったなぁ・・・。」なんておしゃべりをしていたら、
                  ゆずさんが「こぶさんちょっといい?」とやってきた。
                  こぶ「うん。何?」
                  ゆずさん「あのねぇ。温泉さんが昨日こぶさんが帰ったあと亡くなったんだよ。」
                  こぶ「えっ!・・・・・・そうなの?」
                  ゆずさん「そう。(午後)2時30分頃だったかなぁ。
                  病室の鉄の扉閉められてね。
                  『どなたか亡くなったのかしら?』って思っていたら温泉さんだったのよ。
                  あなたは温泉さんにかわいがられていたからつらいわよね。」
                  こぶ「・・・・・」。
                  ゆずさん「まあ、元気出して。」と言われた。
                  
                   20時40分頃、ナンちゃん先生が来てくれて、
                  「こぶさんお帰りー。外泊中は熱でなかった?」
                  こぶ「うん。平気だった。それより温泉さん亡くなったの?」
                  ナンちゃん先生「うん。昨日容態が急変してね。僕も頑張ったんだけど・・。」
                  こぶ「温泉さんにはお世話になったから・・・悲しいな。」
                  ナンちゃん先生「そうだよね・・・でも元気出して。こぶさん明日で入院最後なんだし・・。」
                  こぶ「最後かぁ。先生お世話になりました。」
                  ナンちゃん先生「僕は途中からだからねー。
                  そんなにはねぇ。やっぱもんち先生でしょ。」
                  こぶ「うん。もんち先生に4月頃、『こぶさんには主治医が僕しかいないんだけど忙しくてなかなか来れないや。』って言われたの。
                  そしたら次の日、ナンちゃん先生がこぶの所に来てくれてね。
                  うれしかったの。
                  点滴も何回も治療していて自分の体調の変化とかも分かるんだけど、不安で悲しかったの。
                  キツイ点滴でつらかったしね。
                  だからもんち先生やナンちゃん先生が毎日来てくれるのがうれしかったの。
                  毎日来てくれてありがとうね。」
                  ナンちゃん先生は笑いながら、「本当にがんばったよね。」
                  こぶ「うん。本当なら今頃、6月に出産して、3ヶ月の赤ちゃんがいたんだよねー。
                  未だに胞状奇胎や絨毛癌になったのが信じられないよ。」
                  ナンちゃん先生「そうだよね。でも今度は大丈夫だよ。きっと。」
                  こぶ「そうだよね。まぁ、病気になったおかげで、人間として成長した気がするし、色んな世代の人達ともお話できて楽しかったから自分にとってはいい経験になったかなぁ。
                  萩さんや桔梗さん達に料理も教えてもらってレパートリーも増えたし。」
                  ナンちゃん先生「こぶさんは患者さん達の人気者だからね。」
                  こぶ「それはハゲを楽しんでいるし、笑っているからでしょ。」とニッコリ。
                  ナンちゃん先生「人は病気の時に本心を出すからねぇ。この前も個室の患者さんに「先生や看護師には私の気持ちが分からないでしょ。」とか色々愚痴を言われたり、僕らに当たる人も居るんだけど、こぶさんはすごいよね。いつも笑顔でこぶさんの所に来ると、『ホッ』とするよ。」
                  こぶは笑いながら、「照れるじゃん。・・・先生明日いるよね?」
                  ナンちゃん先生「いつもいるじゃん。」
                  こぶ「朝の採血お願いしたいな。」
                  ナンちゃん先生「分かった。僕がするね。明日は何時ごろ帰るの?」
                  こぶ「14時頃かな。MRI撮ったら帰る。」
                  ナンちゃん先生「腫瘍なくなってるといいね。」
                  こぶ「多分なくなってるよ。今日体洗っている時、お腹の腫瘍にあたらなかったもん。」
                  ナンちゃん先生「へえ、ちょっと診せて。」
                  こぶ「いいよ。」と、こぶのベッド周りのカーテンを閉めて診察してもらった。
                  ナンちゃん先生「本当だ。ない感じするね。」
                  こぶ「でしょ?つぶれたねきっと。」
                  ナンちゃん先生「それを明日MRIで見るんじゃん。」
                  こぶ「そうだね。」
                  ナンちゃん先生「こぶさん他に聞きたい事とかない?」
                  こぶ「ない。先生夜遅くに長々と引き止めてごめんね。」
                  ナンちゃん先生「こぶさん、また明日ね。」と、笑いながら言って病室を出て行った。
                   
                   先生が帰ったあと、病室の患者さん達に、
                  「ナンちゃん先生はやさしいね。」と言われた。
                  こぶ「うん。夜遅くにうるさくしてすいませんでした。おやすみなさい。」と言って、パジャマに着替えた。
                  
                   消灯時間を過ぎても、温泉さんの事が頭から離れなくてなかなか眠れない。
                  『ハァ・・・(ノω・、) 』
2004年9月15日(水) 『最 後』

トトロさん

セリさん

ゆずさん

梅さん

桔梗さん
朝の検温のあと、ナンちゃん先生に採血を5本してもらった。
                  
                  産科には、朝6時だというのに今にも赤ちゃんが生まれそうな妊婦さんが6人も待機しているそうだ。
                  
                  ナンちゃん先生「今日はもんち先生はこぶさんの所に来れないかも。」と言われた。
                  こぶ「もんち先生に『毎日来てくれてありがとう』ってお礼言いたかったな。」と言うと、
                  ナンちゃん先生は「僕から言っておくよ。」と言ってくれた。
                  それから「こぶさん、MRI撮ったら帰るんだよね。」
                  こぶ「うん。先生お世話になりました。先生も毎日来てくれてありがとうね。」と挨拶をした。
                  
                   先生が帰ったあと、いつものコーヒーを買いに外来棟の2Fの自販機に行った。
                  いつも通り、誰にもすれ違うことのない静かな廊下を歩きながら、ふと、
                  『大腸菌に感染した頃、ここまでコーヒーやジュースを買いにくる事が(個室に隔離されていて)出来なくてすごく悔しかったんだよね・・。』とか
                  『元気になって、ここまでコーヒーを買いに来れた時には、すごく嬉しくて1人で自販機の前で泣いたなぁ。』とか
                  『色々あったけど、こぶ、やっと退院できるんだなぁ。』とか思ったら涙が出てきた。
                  
                   8時20分頃、最後の「朝食の用意ができました・・・。」の放送があった。
                  こぶはMRIがあるから禁水・禁食なんだけど、看護師さんに呼ばれた。
                  『何だろう?』と思いながら廊下に出ると、
                  看護師さん「こぶさん、バナナは後で食べるように取っておいたら?」
                  『うん。そうしよう。』とバナナを持って病室に戻ろうとしているところに、
                  トトロさんやセリさんやゆべしさん達「こぶさん、もしかして禁食なの?」と聞かれた。
                  こぶ「うん。MRI撮るから。」と言うと、
                  トトロさん達が、こぶの両手いっぱいにお菓子を載せてくれた。
                  こぶは3人に「ありがとうございます。」とお礼を言うと、
                  トトロさん達はニッコリしてくれた。
                  さっきの看護師さんにも「こぶさん、お菓子たくさんもらったの?」と子供をからかうようにニヤニヤされた。
                  「後で食べるの。」と子供のような返事して病室に戻った。
                  
                   病室では、マーメイドさんにも「そんなにお菓子貰っても食べきれないね。」と笑われた。
                   みんなが朝食を食べている間、禁食のこぶもみんなと話をして過ごした。
                  と、そこをパッチリ先生が通りすぎようとして
                  パッチリ先生「あっ!こぶさん。」と声をかけてくれた。
                  こぶ「おはようございます。先生お世話になりました。」
                  パッチリ先生「今日帰るんだよね。」
                  こぶ「うん。お世話になりました。」
                  パッチリ先生「こぶさん、がんばったね!」とニッコリしてくれた。
                  先生と話し終わった後、
                  ゆずさんが「あの先生もこぶさんの担当医?」と聞いてきた。
                  こぶ「違うけど声掛けてくれるの。」(パッチリ先生は、こぶの病気について学会で発表したから、こぶのことが気になっていたらしい。)
                  ゆずさん「ふーん。私ね、昨日レモン先生が夏休み明けで久しぶりに病室に来てくれた時に、『先生が留守中、パッチリ先生は私の所に1度も来なかった』って文句言ったら、レモン先生が『パッチリ先生に注意しておくね。』って言ってたのに、パッチリ先生は今日も無視よ。」
                  
                  『そういう事を言うから、余計無視されるんじゃないかなぁ。』と思いながらも話を聞いていたら、梅さんがゆずさんに梨を持って来た。
                  
                  梅さん「あら?こぶさん帰って来てたの?」
                  こぶ「うん。MRI撮るから戻って来たの。」
                  梅さん「そうなの?私の分がなくなっちゃうけど、梨持って来るから待ってて。」
                  こぶ「梅さんいいよ。MRI撮るから今すぐ食べられないし。」と話していたら、
                  ゆずさんが「そうよ。元々こぶさんの分はなかったんだから、梅さん持ってくる必要ないんじゃない?」と話に割り込んできた。
                  梅さんは構わず、「こぶさん待ってて。」と言い残して病室を出て行った。
                  しばらくして戻って来た梅さんに、ゆずさんのこともあったので
                  こぶ「いいの?」と聞き返すと、
                  梅さん「いいのよ。こぶさん最後の入院がんばって!」と言ってくれた。
                  こぶ「梅さんにはよく、かんぴょう巻きとか鳩サブレもらいましたよね。
                  うれしかったです。お世話になりました。」とお礼を言うと、
                  梅さん「海苔巻きとお菓子は食べれるかなぁ、と思って差し入れしていたんだけど、喜んでもらえて良かった。」とニッコリして病室を出て行った。
                  
                   梅さんが帰った後、
                  ゆずさん「こぶさんはいいわねぇ。患者さんたちに気にかけてもらえて。」
                  いやみっぽく言われた。
                  
                   9時30分頃MRIに呼ばれ、記録室に行こうとベッドから立ち上がった時、無精ひげを伸ばしてかなり疲れた顔をしたもんち先生が病室に入ってきた。
                  もんち先生は、マーメイドさんの抜糸をする為に来たようで、マーメイドさんに今から処置室(記録室の奥にある。)に来るように言っていた。
                  こぶは先生が話し終わるのを待っている訳には行かないから、先生に会釈だけして記録室に向かった。
                  記録室に行くと何故か教授が来ていて、
                  教授「こぶさん、入院して良かったでしょ。」とニヤニヤ。
                  こぶ「はい。ほんと良かった、ここに入院して・・。」と言うと、
                  教授の周りにいた先生達に、思いっきり笑われた。
                  『最初に教授に抵抗したからってそんなに笑わなくても・・。』と、とっても恥ずかしくなった。
                  
                   教授と話した後、こぶのカルテを持った看護師さんと2人でMRIを撮りに行った。
                  MRIに行く途中で看護師さんに、
                  こぶ「カルテにどんな事が書いてあるか見ちゃ駄目?」と聞くと、
                  看護師さん「・・・特別ですよ。」と、廊下の隅に寄りカルテを開いて見せてくれた。
                  カルテを見て・・。
                  こぶ「この・・。昨日のカルテに書いてある『She is good!』って誰の字?」
                  看護師「えーっと、ナンちゃん先生の字ですー。」
                  こぶ「これって、『彼女は元気』って意味でしょ?日本語で書いたらいいのにー。」
                  看護師さん「研修医ほど英語を使うんですよねー。」と、
                  2人で、記録が英語で書かれていることにびっくりして笑った。
                  
                   ちなみに、もんち先生の字はというと、すごーく小さくて、何が書いてあるのか良く分からなかった。
                  『小さい几帳面な字に、先生の性格が出ているなぁ。』
                  
                   MRI室に着いたら、看護師さんは、こぶのカルテを技師さんに渡して病棟に戻って行った。
                  MRIの技師さん「こぶさん。いつものねー。」とニッコリされた。
                  こぶ「はい。」と返事。
                  
                  『入院するたびに来てたから、すっかり常連になってしまったなぁ。』
                  
                  MRIの技師さん「こぶさんは入院が長いよね。」
                  こぶ「うん。でも今日で終わり。技師さんには『(お腹を固定する)ベルトをゆるめて。』とか色々注文してすみませんでした。」
                  MRIの技師さん「あの時は辛そうだったよね。でも元気になって良かったね。」
                  こぶ「それが。・・・今回のMRIで腫瘍の枠が潰れていないと、また戻ってくるかもしれないの。」と言うと、
                  MRIの技師さん「大丈夫だよ!」と励ましてくれた。
                  いつも通り、腹部造影検査をした。
                  検査は30分で終了し、技師さんに挨拶をして病室に戻った。
                  
                   10時過ぎに病室に戻った。
                  麦茶を一口飲んだ途端に吐いた。
                  やっぱり造影剤は、からだにあわないみたい。
                  検査の後必ず吐くようになってしまった。
                  そんなわけで胃が落ち着くまでベッドに横になっていた。
                  
                   10時40分頃、胃のムカムカが収まったので、サプリメント・もらった梨・お菓子を食べながらゆずさん達と話をして過ごした。
                  
                  『退院したら、しゅうちゃんと2人でディズニーシーに行きたいなあ』とか思っていたので、行った事のあるマーメイドさんとプーさんに、
                  「どんな感じ?楽しい?」とか色々聞いたりして和やかに話していたんだけど・・・。
                  
                  
                  
                  ゆずさん「こぶさん、本当に今日退院するのよね?」
                  こぶ「うん。お世話になりました。」
                  ゆずさん「あなたは退院しちゃうし、温泉さんは亡くなるしで、今月は色々あるわね・・。」
                  こぶ「・・・。」
                  ゆずさん「9月の始め頃かしら?温泉さんの部屋から、人工呼吸器のボコボコって音がしたの。
                  自発呼吸が出来ないって事は、『近いうちに亡くなるかもってね』って、みんなと話してたら、亡くなったのよ・・。」
                  こぶ「・・・もしかして梅さんの病室で、そんな話してたの?」
                  ゆずさん「だって、気になるじゃない。」
                  こぶ「今さらだけど、他の病室の人達が、ゆずさんが死ぬとか死なないとか噂話しているのを聞いたらどう思うと思う?」
                  ゆずさん「嫌かもねぇ。」
                  こぶ「でしょ?話すなら、温泉さんと話した楽しい話をしない?」
                  ゆずさん「そうね。」と、温泉さんとよく話した、四万温泉や草津温泉の話をした。
                  話のあと、こぶはしばらく眠った。
                  
                   昼食にバナナとサプリメントをたくさん飲んだ。
                  
                   13時頃、野菜さんとセリさんにトイレの前で会って、そのまま野菜さんの病室に遊びに行った。
                  そこで、50分ぐらい、大腸菌に感染した時にセリさんにそうめんを貰ったことや、野菜さんのお家の1歳のポメラニアンの話をして病室に戻った。
                   病室に戻る途中で、桔梗さんに会った。
                  桔梗さん「ああ。こぶさん・・。」
                  こぶ「桔梗さん元気ないね。」
                  桔梗さん「うん。こぶさんちょっといい?」と、廊下の隅で話をする事になった。
                  桔梗さん「ついさっきの事なんだけどね、ゆずさんがうちの病室に来て、『4月に亡くなった山さんと温泉さんは、腹水に癌細胞が広がって亡くなったけど、あなたは大丈夫なの?』って言われたの・・。」
                  こぶ「・・・なんで。・・・また言われたの?
                  山さんが亡くなったときも言ってたよね。」
                  桔梗さん「私も腹水が溜まるからって・・。
                  何度も言わなくたって・・・。」
                  こぶ「・・・。」
                  桔梗さん「・・・やっぱり、次は私が死んじゃうのかなぁ・・・。」
                  こぶ「そんなの、主任先生(桔梗さんの主治医)が言った訳じゃないし。・・気にしないで。」
                  桔梗さん「そうだよね。先生は『まだまだ桔梗さんには使える薬がある』って言われたし、大丈夫よね?」
                  こぶ「うん。」
                  
                  『ゆずさんは何て失礼な事を言うのだろう!』
                  
                   14時頃病室戻った。そのままゆずさんに、
                  こぶ「このままだと友達無くしますよ。」と言うと、
                  ゆずさん「桔梗さんの事?・・・。何で私あんな事言っちゃったんだろう・・。」と、ゆずさんはゆずさんで反省していた。
                  
                  ゆずさんと20分ぐらい話してから、着替えをして退院する準備をした。
                  
                   14時50分頃、しゅうちゃんが迎えに来てくれた。
                  ゆずさんやお世話になた患者さん達に挨拶をした後、記録室に寄って、看護師さんと偶然居合わせたナンちゃん先生に挨拶とお礼を言った。
                  
                  看護師さんとナンちゃん先生が「こぶさんの気持ちは僕たちからもんち先生に伝えておくね。」と言ってくれた。
                  
                  『自分で言いたかったなぁ。』
                  
                   16時頃お家に到着して遅いお昼を食べてから、布団をしゅうちゃんに敷いてもらって眠った。
                   20時頃起きて、冷やし中華をしゅうちゃんにレタス大盛りで作ってもらった。
                  食べながら、
                  こぶ「明日からは、こぶがご飯を作るからね。」と、言うと、
                  しゅうちゃん「言うと思った。」と、ニッコリしてくれた。
                  どうやらこぶが無理しないように、しゅうちゃんはしゅうちゃんママに食料を頼んでくれていたみたい。
                  無理しないようにというしゅうちゃんとママの気遣いに、
                  『心から感謝。今まで支えてくれてありがとう。』そして、
                  『これからうんと恩返しするからね!』と思った。








