2004年1月27日から1月29日までの闘病日記

2004年1月27日(火)   『造影剤一気飲み』

 今日は朝からあわただしい。

 こぶの病室の妊婦さん達が帝王切開で産むらしく、ご主人やご両親が来ていて順番に病室を出て行った。

お昼頃にその内の1人が病室に戻って来た。
その妊婦さんは傷口が相当痛いらしく唸っていた。
しばらくして看護師さんが赤ちゃんを連れて病室に来た。

ここの病院では《院内感染》を防止する為に、赤ちゃんは徹底的に無菌状態で管理するそうで、記念撮影が終わるとすぐに看護師さんに連れて行かれた。

それから次々と妊婦さんが手術室から戻って来た。
見ているだけでも悲しくなるから、カーテンを閉めておいた。

 朝食も昼食も食べたくないから食べなかったら、看護師さんが心配してくれた。

 15時頃個室に移った。
 16時頃車椅子でCTを撮りに2階に行った。

胸部・骨盤内造影の説明を受け造影剤入りのお水を500cc飲んだ。
少し甘いけど、決しておいしくはない造影剤入りジュースを一気に飲んだ。
飲みっぷりのいいこぶにCTの技師さんは「もう一杯飲む?■D\(^◇^ )」と聞いてきた。
こぶ「・・・いえ、いいです。(ー_ー )ノ"」
技師さん「残念だなー。o(^ー^*o)」とニッコリ。
付き添いの看護師さん「一気に飲むなんてすごいですね。」と言われた。

 飲んでから造影剤が臓器に浸透するまでだいたい20分ぐらい待つ。
しばらくしたら看護師さんが産科に呼ばれて戻ってしまったので、CTを撮って(撮影自体は5分ぐらい)から迎えの看護師さんが来るのを廊下で待った。
待っているこぶに技師さんが「寒いからね。」とタオルを貸してくれた。

 17時頃迎えに来た看護師さんと病室に戻った。
途中、話すこともないからどうして病室にテレビがないのか看護師さんに聞いてみた。
赤ちゃんの心音を聞くために、妊婦さんのおなかに超音波ベルトが巻いてあるんだけど、テレビの音とかがあると聞き取りにくくなってしまうからだそうだ。

「婦人科にはテレビがあるから移動するまでは我慢してね。」と言われた。
退屈なのでしゅうちゃんに本を買って来て貰った。

しゅうちゃんは相変わらず元気がないこぶを励まして本を置いて帰った。

 17時30頃夕食の時間だけど、病院食は食べないで買って来てもらったパンを食べた。

産科の師長さん(看護師長と言うらしい)が来て「後で主治医の先生が今後の事を話しに来るんだけど、1人で聞くのは辛いだろうから私が側にいるね。ヾ(^^ )" ヨシヨシ」
こぶ「お願いします。」と今にも泣きそう。
師長さん「大丈夫!側に居るから心配しないの。v(゚ー^*)」と言ってくれた。

なのに・・・、
師長さんが会議で居ない19時頃、主治医となるもんちっち(通称もんち。)と、タコ先生が病室に来た。

挨拶の後、今後の治療方針について唐突に2人が話し始めた。
タコ先生「おそらく侵入奇胎だね。抗がん剤を使って治療するから。d(-_-)」と説明した。もんち先生は黙ってこぶを見ている。
こぶ「・・・抗がん剤ですか。(´。`)>」
タコ先生「そう。」
こぶ「前の病院で薬でよくなるとは聞いていたけど、抗がん剤を使うとは聞いていない。抗がん剤を使うほど悪いんですか?ε- (´。`)>」
タコ先生「そこ(前の病院)で治療しないのに抗がん剤なんて言えないでしょ。この病気に1番効くのが抗がん剤なんだよね。大部屋(6人部屋)で治療ね。d(-_-)」
もんち先生は黙ってこぶを見ている。
こぶ「大部屋はイヤです。個室にしてください。(`○´)」
タコ先生「婦人科の個室は白血球が下がったり具合いが悪い人が入るからだめ。長く治療している患者さんもみんな大部屋で抗がん剤してるんだからさー。がまんして!( ̄〜 ̄) 」
こぶ「どうしても?」
タコ先生「個室はだめだね。仲間がいた方がいいから。d(^-^) ねっ」
こぶは、がっかりして今にも泣きそう。

そんなこぶのことは構いなしに、

タコ先生は「詳しいことは、明日カンファレンスルームで話すから。d(-_-)」
と軽く言って、さっさと部屋を出て行った。
もんち先生とは1回も話さなかった。

1人になったこぶは、抗がん剤に対してあまりいい印象を持っていなかったからとても怖くなった。
『こぶはもしかしたら、死ぬかも・・・((((;゚Д゚)))ガクガクブルブル』

『詳しくは明日、しゅうちゃんが来た時にカンファレンスルームで話す。と言ってたな。なんて言われるんだろう。(*´o`)=зハァ-』

テレビがなくて暇だから、つい色々と考えて泣けてくる。

 20時頃、師長さんが来てくれて、
「私が居ない間に先生達が来たんだって?大丈夫?('・c_・` ;)」

こぶ「抗がん剤をするって、あと、個室に入りたいって言ったらだめだって。」
師長さん「この病気には抗がん剤が1番効くからねヾ('・・` )"。」
こぶ「抗がん剤怖いし、落ち込んで泣いている時にはっきり言わなくてもいいじゃん。o(・・、)o」と泣いていると、
師長さん「タコ先生は、患者さんのことを思う余り言い過ぎちゃう所があるけど良い先生なのよ。ヾ('・・` )"」と、こぶが落ち着くまで、師長(婦長)さんは側にいてくれた。
今後の事を考えると怖いし、不安だしで今日も眠れない。

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2004年1月28日(水)   『カンファレンス』

サンプルイメージ
ピンクさん

サンプルイメージ
すいかさん

サンプルイメージ
ユリさん

サンプルイメージ
さくらさん

11時頃、婦人科病棟の6人部屋に移った。

婦人科に移動すると、記録室からお腹の大きい妊婦の看護師さんが出てきた。
妊婦看護師「あっこぶさんですね。初めまして〜、○○です。こぶさん、6人部屋ね。」

こぶ『絶句・・・・。 ゚+.(ノ・ω・、)ノ・・ノオオォォ・・・』

でも、そんなのお構いなしに、妊婦看護師さんはこぶを病室へと導く。
その後ろから泣きそうな顔をしながらこぶはついて行った・・。
くすん ( ノω-、)

妊婦さんが働いていても別に良いのだが、侵入奇胎と診断されたこぶには、お腹のぷっくりした看護師さんがいることはショックだ・・。

『この看護師さんは、なるべく見ないようにしよう。』と、心に誓った。

こぶの入る病室は何回目かの治療で来ている患者さんがほとんどだった
こぶ「よろしくお願いします。m(^_^)m」
患者さんたちに、(ピンク・ユリ・さくら・すいかさん。)「こちらこそよろしく。ところであなた何の病気?\(^∇^)/」

こぶ『いきなり聞くか〜?。言った所で分からないだろうから言いたくないな。(・へ・;)』
と黙っていると、ピンクさんが自分の病気について話はじめた。

その場にいた4人全員が話し終わるといよいよこぶの番になった。

こぶ「侵入奇胎で・・。(^ー^;)」
すいかさん「知ってる!ぶどうっ子って言うのよね。美智子様が昔なったのよね。σ( ̄◇ ̄;)」
ピンクさん「私も知ってる!前に胞状奇胎の人とお部屋一緒になってね。
その人肺に転移して大変だったんだけど、2年経ってお子さん出来たって病室に来たわよ。
だからあなたも大丈夫よ。若いんだからがんばって! (^_^)/」
と励ましてくれた。

色々話を聞いているうちに自分の病気についての不安や抗がん剤に対する恐怖心が薄れてきた。
「がんばって!」と言われ、
『怖がって泣いていてもやるしかない!』と勇気が湧いてきた。
 

 「がんばって。」と言われても、これ以上どう頑張ればいいの?と嫌がる人もいるかもしれない。
 でも、こぶの場合は、患者さん同士の「がんばって!」とかの励ましの言葉は、今後治療していく上で励みになった。
(健康な見舞い客には言われたくはないけどね。)
 
 病気についてそれぞれが話し終えたころお昼の時間になった。
今日はミートソーススパゲティの日。
こぶはMRIを撮るから食べられない。

ピンクさん「こぶさん、ここのミートソース美味しいから取っといたら?d(^-^) 」とラップを貸してくれた。
 
 午後、なすび先生に連れられてMRIで胸部・骨盤内造影。
腸の動きを止める薬を筋肉注射で入れて、その後造影剤を注射で入れて30分ぐらいで終了。
病室に戻って来てから採血4本をした。

採血が終わったこぶに、
ピンクさん「こぶさんお腹減ったでしょ。温めてくる?(~-~) 」
こぶ「電子レンジあるの?」
ピンクさん「ある場所教えてあげる。(~ー~)」と言ってこぶを案内してくれた。
「ポットはここ。(*~◇~)σ」と温めて帰るときにポットの場所も教えてくれた。

病院食は薄味なのかと思っていたら、しっかり味が付いていた。
「美味しい。」と言って食べているこぶに、
ピンクさん「そうでしょ。意外といけるのよ。あとね、ちらしずしが美味しいよ。(ノ~o~)へ」
すいかさんが「ハヤシライスもね。(ノ~o~)へ」と言っていた。

 夜、主治医の先生2人から、しゅうちゃんとこぶに今後の治療についてカンファレンスルームで話があった。
主治医2人となすび先生がこぶ達に改めて挨拶をした後、タコ先生がライトボードに、CTとMRIの画像を映し出し
「どういう訳か、子宮に穴があいていて、そこからぶどうが飛び出しておなかにいます。これがそう。L(・o・)」と映し出されたフィルムを指差した。そして、黒板に子宮とお腹の絵を描いて、
「今お腹のこの辺に腫瘍があります。@ヾ(-_- )コレナンダケド」
と今のこぶの状態について説明した。

 侵入奇胎の中でも、とても珍しくたちの悪いものだった。
こぶの場合、他の臓器には転移せずに、子宮の壁を破っておなか(胃の下)にいた。
この病院でも、胞状奇胎自体が年に1〜2例しかないのに、その中でもこぶのようなタイプの症例は、きわめて珍しいそうだ。

 今後の治療については、
1月30日〜2月2日までの4日間抗がん剤メソトレキセート(略してメソトレ)20rを筋肉注射。その後、1週間空けて20r×4日間、これを5〜6クール行う。効果がなければ、点滴で抗がん剤治療ということになった

 こぶの想像をはるかに超えたぶどうっ子の性質の悪さに、これ以上話を聞きたくなくうつむいていると、
「がんばれ!p( ̄▽ ̄)q 」という声が聞こえた。
声の聞こえた方向を見るともんち先生がこぶを見いた。
そしてもう一度小さな声で「がんばれ!p( ̄▽ ̄)q 」

『がんばれないよ・・。o(>ヘ<)o』そう思いつつも、こぶがうつむいて話が中断しているので、しゅうちゃんの手をギュッと握って再び顔を上げタコ先生の説明を聞いた。

タコ先生「手術は子宮の壁が薄いのと、おなかにぶどうっこがいるからもう出来ない。90%の確率で失敗します。なので、覚悟を決めて下さい。」と言われた。
『覚悟ってなに?』これから自分がどうなってしまうのか判らなくて怖い。
もんち先生が「髪の毛が少し抜ける。」と言っていた。
抗がん剤をしたら髪が抜けるのは分かっていたけど、改めて『抜ける。』と言われるとショックで涙が出てきた。

 しゅうちゃんは冷静に、タコ先生に色々質問していた。
話が終わりカンファレンスルームを出てから、しゅうちゃんに「しゅうちゃんママに電話してね。」とお願いした。

 病室に戻るとピンクさんが「先生のお話どうだった?」と聞いてきた。
こぶ「あさってから抗がん剤の治療だって・・。( ̄_ ̄|||)」
ピンク・ユリさん「そうなの。えっ毎日注射で薬を入れるの?しんどいね。(;´o`)」
こぶ「うん。抗がん剤の注射はそんなにきつくないとは言っていたけど怖いな。
髪抜けるって言ってたし。( ̄_ ̄|||)」

ピンクさん「治療が終わったら、生えてくるから・・。 (;^ー^)/」

ユリさん「私もこれから治療なの。お互いがんばろう。p( ̄0 ̄)/」と励ましてくれた。

『タコ先生が言うように覚悟決めないとね!
こぶちゃん、がんば!○(^o^)o』
と自分にエールを送った。

 消灯前に看護師さんがこぶの所に来て
「明日から尿を計ってもらうので、今からやり方を教えますね。d(^-^) 」と、こぶをトイレの隣の部屋にある尿を計る機械の前に連れて行った。
看護師さん「名前の貼ってあるカップに尿をためてもらったら、機械に貼ってある自分の名前のボタンを押して・・。」と説明してくれた。
看護師さんに「もう、ためなくて(尿)いいよ。」と言われるまで毎日溜めることになった。
 こぶは入院してからずっと、(24時間)点滴をしているから1時間おきにトイレに行く。
その度に尿を計るのは『めんどくさいな。』と思った。

 今日も就寝時間が過ぎても眠れなかった。
目を閉じると恐怖心が沸いてきて、眠れない。
入院してからほとんど寝ていないから頭が痛い。
目を閉じて

『しゅうちゃんの為にやるしかない!もんち先生も患者さん達も「がんばって!」って言ってくれたし・・、
こぶちゃんがんば!○(^o^)o』
と再び自分を勇気づけて目を閉じた。

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2004年1月29日(木)   『歩いてみた』

 朝の検温の後 採血4本があって、なすび先生にしてもらった。(白血球・ヘモグロビン・血小板・腎肝臓の機能・hCG値などを調べる為で、全部で53項目あった。)
今日は手術の日で、看護師さん達は朝から忙しそうだった。

 今日は朝からずっと眠い。
結局きのうはどうにか4時間だけ眠れた。

 朝食にごはん・味噌汁・ライフパックなどのサプリメントを飲んだ。
その後、眠くて11時頃まで眠った。
起きてボーっとしていると、お昼のお茶の入ったヤカンが隣の病室から回って来た。
お茶を飲みながらすいかさんとピンクさんと旅行や料理の話をした。
病気以外の話をして気が紛れた。
 
 昼食も食べないで、サプリメントを色々飲んだ。 
動かないからお腹が空かない。
 
14時の検温を、妊婦看護師さんにしてもらった。
『昨日の【この看護師さんは見ないようにしよう】という誓いはかなわぬものらしい・・。』
妊婦看護師さん「こぶさん、侵入奇胎なんだって?」
こぶ「はい・・。」

妊婦看護師さん「そうなんだ、珍しいね。去年も一人いたんだけど、
その人、今は元気だよ・・・。
・・・もし、もしだよ!
順調だったらこぶさんは、いつ生まれる予定だったの?」


こぶ「 ( ̄□ ̄;)!! ・・・。」

妊婦看護師さん「ごめんね・・。でも、治ったら生めるんだし・・。」
こぶ「・・・。6月17日。」
妊婦看護師さん「そうなの!私、7月なんだ〜。
こぶさんとそんなに変わらないね。 ゚+.(??∀??)゚♪ 」
と笑顔で検温をして病室を出て行った。

ピンクさん「あの看護師さん、最近順調なのが、嬉しいのか誰かれかまわず、自慢してくるのよねぇ・・。こぶさん辛いわね。 ( ノω-、)」と言われた。

『何であの人はこんなに聞いてくるんだ?訳わかんねぇ・・。くすん ( ノω-、)
ほっといてくれ。』


 夕方、病棟を歩いていたら、ここを紹介してくれた助教授に会った。
助教授「こぶさん、久しぶり!明日から治療だってね。がんばるんだよ、必ず良くなるからね。d(^-^) ねっ」と笑顔で言ってくれた。
前の病院の院長が「こぶを心配している。」とも言っていたから、
「今の所元気にしています。(`ε´)」と伝えてもらう事にした。

 夕食は、ごはんをお茶碗半分と味噌汁・サプリメントを飲んだ。

 今日、しゅうちゃんはお見舞いに来ない。
今度から1日おきに来てもらうことにした。
そうしないと、しゅうちゃんが疲れちゃうもんね。無理はさせられません!

夕食の後、本を読んでいたらもんち先生がこぶの所に来た。
もんち先生「これからタコ先生と、子宮の内診と超音波エコーをしたいんだけどいい?(  ̄o ̄)」
こぶ「いいよ。」と2人で産科病棟にエレベーターで降りて行った。
エレベーターに乗る時、点滴台が扉に引っかかった。
こぶは点滴台を足で蹴って乗った。
それを見ていたもんち先生に「点滴台使うの慣れたね。(^。^;)」と言われた。

『褒められてもうれしくないよー。』

 産科病棟に着くと、看護師さん達に「こぶさん、歩いてる!w(゚0゚)w」と言われた。看護師さん達に挨拶してから記録室の中に入ると、内診台の前でタコ先生がこぶが来るのを待っていた。

 内診台に上がる時、そばにいたもんち先生に「先生もいるの?」と思わず聞いたら、「そうだよ。タコ先生と一緒に診るから。」
『もんち先生は若い先生だから恥ずかしいな。(>o<*)キャっ!』

 エコー検査と、触診をされた。
触診は初めてだったからびっくりした。
タコ先生が今日の採血結果を教えてくれた。
hCG値550,000。990000よりは減っていた。

 内診の後、もんち先生がお腹にエコーをあててぶどうの大きさを確認していた。
エコー写真を見せてもらったら、ぶどうの大きさはコンビニおにぎり1個分だった。
 以前こぶがお腹の左側に違和感を感じていた事を話すと
もんち先生「お腹の左側にぶどうがいる。」
と言っていた。

『やっぱりな。以前から感じていたお腹がかき回される感じは、ぶどうっこのせいだったんだ・・。最初の処置からまだ2ヶ月経ってないのに再発。本当にぶどうっこの成長スピードは早いな。』

こぶ「侵入奇胎でも強くない抗がん剤の効果はあるの?」と聞いたら、
もんち先生「効果のある人にはすごい効果がある。(´〜`;) 」と言っていた。

病室に戻ってから、ユリさんと少し話をした。

明日から治療が始まる。緊張するー。

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